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やまぐちスポーツ医・科学サポートセンターでは国内外のスポーツ医・科学情報をはじめ、各競技大会成績を配信しています。

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サポート2011@スポーツ医・科学センターです。(柴田)

【スポーツ政策】情報

【スポーツ政策/スポーツ基本法】に関わる最新情報が入りましたのでご紹介します。




◆ 【甦れ!! ニッポン】第9部 スポーツ基本法を問う(5)

■指導者の不安解消を/日本レスリング協会・佐藤満氏

 《かつて日本の「お家芸」と呼ばれた男子レスリング。1988年ソウル五輪で佐藤満氏らが獲得した2個の金メダルを最後に、頂点から遠ざかっている。競技の現場では、国家戦略として選手強化に取り組むための法整備を熱望している》

 法整備があって初めて現場は動ける。競技スポーツ、生涯スポーツの支えになる法律を歓迎したい。もう自分たちの力だけでは五輪で勝てない時代。だからこそ、国の支援が必要です。味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)ができて、選手強化がうまくいくようになってきた。国の支援がないと、スポーツは根付かないし、選手強化も難しい。

 《国家財政が厳しく、国庫補助金に基づく日本オリンピック委員会(JOC)の強化予算は横ばい。一方、情報・医科学などの分野で、国が選手強化を側面支援するマルチサポート事業は年々、予算が拡充されている》

 JOCが強化費配分のために決める競技のランク分けで、レスリングはメダル獲得が有望な「特A」。強化の面では助かります。ただし、制度上は強化費の3分の1を競技団体が負担するという制約もある。協会がその3分の1を負担できない分、合宿の日程を少し削らなくちゃいけない。本来は強化現場に大きな予算があって、それ以外に必要なものが側面支援の事業に使われるのが理想。今は、それが逆になっていると感じます。


 《佐藤氏は2008年11月、日本協会の男子強化委員長に就任。本業の専大教授と掛け持ちで、レスリング全日本男子の陣頭指揮を執っている》

 時間的な制約がきつい。大学の他の教員と同じ仕事をしながら、1年の3分の1以上は合宿とか遠征に行く。授業の準備は寝る時間を削ってやるしかない。朝晩の大学の部活動も指導するので、家庭を持つ身は大変。子供には「お父さん、今度はどこに行くの」と…。家族には迷惑をかけています。

 金メダリストである僕が指導者として頑張る姿を見せれば、若いコーチたちは「僕らもできる」となるでしょう。後進のことを考えると、ナショナルチームの監督やコーチに就いた人が、勤務先である程度の休職期間などを取れる制度ができれば助かる。僕なら大学教授の仕事を他の人に任せて、五輪が終わった後に復職できるようなシステム。指導者のことも網羅されたスポーツ基本法なのか分からないが、指導者を支援する制度づくりも期待したいですね。

 文部科学省が(10年8月に)公表した「スポーツ立国戦略」では、「好循環」が一つのキーワードでした。アスリートの好循環だけでなく、コーチ、スタッフも所属先やJOC、NTCなどの間を行き来し、循環できるシステムを国が作ることが、スポーツ立国への道程ではないでしょうか。

 《指導者が生計を立てる道は一部のプロスポーツに限られる。多くの競技では、指導者が腰を据えて選手強化に打ち込める環境が、まだ整備されていないと感じる》

 僕は98年にJOCの専任コーチに就任した経験がある。当時の自分には、指導者として母校の日体大に戻るという選択肢もあったからいいが、他のコーチは将来に不安を抱えながらやっている人も多かった。ある期間でコーチ業が終わり、「では次の仕事に」とは簡単にいかない。

 セカンドキャリアが不透明という理由で、若いうちに志半ばで競技をやめて就職する人も多い。一番大切なのは指導者。いい指導者のいるところに、いい選手が集まり、いい選手強化ができる。競技者として成功した人が全日本やジュニアのコーチになる道も開かれるだろうし、そういう人はいろいろな競技を指導できる能力もある。指導者として就職できる環境が整っていれば、指導者も選手も競技に集中できると思うんです。

                   ◇

 【プロフィル】佐藤満 さとう・みつる 1961年12月、秋田県生まれ。
88年ソウル五輪男子フリースタイル52キロ級金メダリスト。92年バルセロナ五輪では負傷を押して6位入賞。2008年11月から、日本レスリング協会の男子強化委員長。12年ロンドン五輪に向けて男子フリー日本代表監督として指揮を執る。専大経営学部教授、医学博士。

(2011/02/13 産経新聞 東京朝刊)
by support2011 | 2011-02-18 09:48 | 【国内・県内】